サポートメダルの構築技術

 ポケモンユナイトにおいて、理解を迫られる仕様がいくつか存在する。大きくは、ポケモンの「ステータス」「技の詳細」「バトルアイテム」「もちもの」である。これらを掛け合わせることで、独自の「型」を生み出すことができるのである。それら全てをコーディネートする力こそが、プレイヤースキルの一つであると考えている。
 そして、従来の項目に加え、一周年アップデートにより「ポケモンサポートメダル」が追加された。これにより、経験と感覚、に依存する構築は一層厳しい環境におかれる事になる。例えば、ステータスと技のダメージ計算式より基準となるダメージを算出、プレイスタイルを勘案しながら、最適な持ち物・メダルを構築、という手順・手続を行う必要がある。
 そこで、本記事では「ポケモンサポートメダル」の仕様に基づき、どのように構築するのが良いか、解説していく。あくまでも構築方法の紹介であって、最適解を紹介するものではないことに留意されたい。これは、複数の構成要素を最適化することによって最適解が達成される、という方針に基づくものである。

目次

属性別効果

 メダルの特徴は2つある。実数によるステータスの増減、割合による追加効果の付与、である。

メダル依存の付与(実数)

 ポケモンサポートメダルは実数によるプラスとマイナスがほぼ全てのメダルに付与されている。つまり、何かの能力を増加させれば、何かの能力が減少するのである。実数であることの意味は、序盤に最も影響が高く、終盤になるに連れて低くなっていく。なぜならば、ステータスの上昇に際してメダルによる増減した値の割合は減少していくからだ。水準に対する割合の大小に比例して試合に対する影響度が決定すると考えている。

耐久値について

 耐久値について、防御・特防をあげるならHPをあげる方が正解、という意見を見かけるが、一概に正解ではない、ということに注意しなければならない。確かに大半の技でダメージ量で比較すればHPの方が耐久性に優れているのだが、一部の技においては最大HPを基準とする技(例えば、カイリューの破壊光線)も存在する。

色属性依存の付与(割合)

 ポケモンサポートメダルは割合による追加効果が色属性に付与されている。つまり、基準となる現在のステータスに割合のステータス等追加効果が付与される。基準となるステータスは基本的にレベルとともに上昇する。そのため、序盤に最も影響が低く、終盤になるに連れて高くなっていく。ただし、レベル等により変動しない値やレベル等による変動の少ない値に関しては、この限りではない。
 また、持ち物によるステータス変動が元の値として扱われるかは、確認が必要である。

単数色と複数色の傾向について

 単数色と複数色の傾向にについて、複数色メダルの採用を正解、のような発信を見かけるが、一概に正解ではない、ということに注意しなければならない。確かに複数色メダルを採用することで色属性による追加効果を多く付与することができる。しかし、(現在は)複数色メダルには色属性の偏りがあるため操作ポケモンとの相性を鑑みなければならない。

メダルランクについて

 メダルを設置する目的によって分けると良い。ザックリとした基準は以下の通り。

ゴールド上げたいステータスに使用。ただし、相殺用のメダルも同ランクでないとステータスが下がる。
シルバー相殺用のメダルがない場合や明確な目的設定ができていない場合。最終的には選択しないことが望ましい。
ブロンズ属性効果を得たい場合。マイナスはゴールドメダルで相殺・上昇が可能。

技術別効果 

 メダルの構築には、いくつかの技術が存在する。どちらも、良い点と悪い点があることに留意されたい。

相殺

 メダルのプラスとマイナスをつなげることで、特定の能力を上げ、特定の能力を下げることが意図的に可能である。

  • 攻撃+10、防御ー10
  • 防御+10、特攻ー10

仮に、このようにメダルを配列した場合、「攻撃+10・特攻ー10」を意図的に作り出すことが可能である。この仕組みを利用することで上げたい能力と下げたい能力を調整することが可能である。

 マイナス点として、ステータス効果を実質的にもたらさないメダルを介在させる必要がある。上記の例にしてみれば、2番目のメダルは能力調整の役割はあるものの、ステータス上昇をもたらさない。そういう意味で、もったいない、と考えることができる。

差分

 メダルにはランクが存在し、ランクの上昇につれてステータス変動に係る値も上昇する。

  • 攻撃+5、防御ー5
  • 防御+10、特攻ー10

 上段が低ランク、下段が高ランクのイメージ。このようにすると、「攻撃+5・防御+5・特攻ー10」となる。このようにランクによる値の差分に着目することで、元来マイナスや0の値をプラスに変えることが可能である。
 ただし、プラスのマイナスの差分を利用することから、絶対値は小さくなる。

手順事例:ヨクバリス

 参考事例として、私の採用しているヨクバリスの構築を紹介しようと思う。成績としては、最終レート:(S3-S5):2000-2100・(S6-): 1500-1600、ソロ勝率:50-55、参加型勝率:60-70(私と同程度のレート)・40-45(私よりも100以上低い)、である。また、MOBAの経験は無く、特に調べたりすることもないので、知識量は比較的乏しい。

優先順位

 まず、優先順位を決定する。どのような動きをするのか、持ち物やバトルアイテムなどの相性を鑑みながら決定する。環境分析や相手がどういった構築をするのかを考えるのもよい。
 私は、実数について「HP」と「移動速度」、色属性について「待ち時間減少」と「HP」を選択した。実数については、序盤にダンベルを積む動きを採用しているため、デスしないこと、移動速度によるデス回避や野生撃破の効率性上昇を狙いとしている。色属性については、ゲップの連射速度上昇によるオブジェクトの削り速度上昇、気合いの鉢巻とのコンボおよびビスケットとの相乗効果を意識した。

必要尺度

 次に、必要尺度を考える。これは非常に難しい。メダルの設置は10枚の上限の下、1枚分のコストを支払って行うと考える。そのため、闇雲に特定の能力を上げるのではなく、必要な能力を必要なだけ配分するのがよい。厳密には検証も必要かもしれない。
 実数については、可能な限り上昇させるという方針を採用しており、大した調整はしていない。色属性については、黒を優先として、白を次点においた。黒については削り速度を練習で検証しギリギリ刈り取れる段階を目指した結果5枚採用とした。次点として白を採用し、2色メダルなどの相性を見ながら青と紫を採用した。

配置検証

 実際に配置する。重要なのは配置して終わらせててはいけないということだ。配置終えたたら、過大ではないか、過小ではないか、などを戦況を踏まえて考察することが重要である。

おわりに

 メダルの制約は実は大きい。何かの能力を上げる代わりに何かの能力を上げる機会を失うことになる。大きく役割ごとに配置するのではなく、ポケモンごと、ひいては立ち回りごとに個別最適化していくことが重要であると考えている。
 例えば、ヨクバリスの場合、「ほしがる・ゲップ」と「ほおばる・タネマシンガン」の大きく2つの技構成が採用されている。大きな枠組みで言えば、「ほしがる・ゲップ」はゲップによるラストヒット、「ほおばる・タネマシンガン」ではタネマシンガンの継続火力を利用したタンク機能、が目標(役割)の一つになるであろう。この場合、最適なメダル構成は同一なのか、という問いである。
 サポートメダルに関する記事や動画をいくつか拝見したが、ほぼ全てテンプレートの紹介に終始し、ポケモンごとのパラメータ・技構成・バトルアイテム・持ち物・立ち回り、といった要素を勘案した上で個別最適性のあるメダル構築のサポートする目的のものを発見することはできなかった。このポケモンはこの動き、という暗黙の了解に基づいてコンテンツを作成しているのだろう。ポケモンユナイトには、有名プレイヤーやYouTube投稿者を盲信する、という大きなトレンドがある。言い換えれば、自分たちで考えることを止め、本当か嘘か分からないけどマネをする、というものだ。だからこそ、多くのYouTube動画やブログなどの記事ではテンプレの紹介が多いのだろう。
 しかし、こういった他力本願の姿勢で勝ち続けることは難しいと考えている。そのため、こうしたメダル構築の方法論を紹介するに至っている。

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